Ex-Libris
  • タイトル:JavaScript & DHTMLクックブック―Webエキスパート必携テクニック集
  • 著者:ダニー グッドマン (著), Danny Goodman (原著), 村上 列 (翻訳)
  • 出版社:オライリージャパン
  • 形態・レーベル:単行本
  • 価格:¥4600+税
  • 発売日:2004/01/26

概要・対象

言及は第二版「ではない」ので注意。
ブラウザの(悪夢のような)互換性を乗り越え、Webアプリのクライアント側をリッチにするためのクックブック集。
DHTMLというのは一時期流行った単語で、技術的には(X)HTML+CSS+JavaScriptを利用してのリッチアプリ作成のための技術全般、という程度の意味。今ではHTML5が目前に控え、各種JavaScriptライブラリが充実しているのでほぼ死語となっている。
ある程度以上、前述の技術についての経験があり、自身でソースコードを追える人が対象。

内容

JavaScriptの配列操作から始まり、フォーム内容検証、パンくずリスト実装、時代を感じさせるHTML要素位置取得と指定(jQueryでかなりの部分まで吸収されている)など。
JavaScriptコアの配列操作は一応は情報価値があるものの、JavaScript(ECMA)のバージョンが上がるにつれて徐々に標準メソッドに置き換わるであろうものも多い。
時代を感じさせるモーダルウィンドウの独自実装やフレーム処理は、逆にレガシーコードの空気感を早急に身に着けなければならない、などの限られたシチュエーションでは役立つかもしれない。

総評

正直に言えば、クックブック内の機能は今日ではほとんどが一定以上に枯れたライブラリで実装可能だろう。本来の意味でのレシピを探すならば、あまり役に立たない。
ただし、今となっては逆にタブーのフレームや新規ウィンドウ関連の実装が何故そうなっているのか、という点で考えればいくばくかの価値はある。もっとも、そんなレガシーコードを助けを借りてまで読まねばならないならばもっと他のアプローチになるだろうが…。
わざわざ買う価値があるかというと疑問だが、会社なりの本棚で見かけたら、レガシーコードの解析にいくばくかの助けになるかもしれない、その程度。

  • タイトル:JavaScriptクックブック―高機能Webサイトのためのレシピ集
  • 著者:ジェリー ブラーデンバー (著), Jerry Bradenbaugh (原著), 村上 列 (翻訳)
  • 出版社:オライリー・ジャパン
  • 形態・レーベル:単行本
  • 価格:¥3800+税
  • 発売日:2000/09/25

古き時代のJavaScript用例集。似たタイトルで「高機能Webサイトのためのレシピ集」が後ろに付かない「JavaScriptクックブック」が2011年04月に同じ出版社から出ているが、直接の関係はない。
10年以上前ということもあって、モニタの解像度は1280-1024程度を最大として想定していたりと歴史を感じるが、それ以上の価値は残念ながらない。
この4年後には「JavaScript&DHTMLクックブック」が出版されている、そんな時代の本だ。

今となってはJavaScriptコアはprototype.js等で拡張すればよいし、DOM操作はjQueryを使えば十分だろう。

レガシーコードを読む際に役立つ情報があればよいがそういったものもなく、例に暗号の仕組みがあったり(それはJavaScrptのクックブックでやるべきことか?)どうも著者もJavaScriptの未来については確信を持てていなかった節がある。
joinなどのメソッドを駆使した配列関連のハックや破壊的メソッドの解説、あるいはパフォーマンスチューニング上問題となる言語仕様について書いてあればまだ価値はありえたが。
言語の歴史を論文等でまとめるという向きでもなければおすすめしない。古き日の残滓でしかないのだ。

  • タイトル:WordPress レッスンブック 3.x対応
  • 著者:エビスコム
  • 出版社:ソシム
  • 形態・レーベル:単行本
  • 価格:¥2800
  • 発売日:2010/09/08

概要・対象

blog、およびCMSツールとして使われるWordPressの解説本。
内容としてはblogを立ち上げるまでを例にしており、初心者向けかつblog構築ツールとしての方向に特化。
対象レベルは、PHPは分からないが、HTMLとCSSはある程度知っている、blog自体もどういうものか知っているかあるいはレンタルを使っていたことがあるというあたり。

内容

WorePress自体のバージョンアップに伴い版を重ねているだけあり、解説する箇所はかなりこなれている。実際、このサイトを構築するにあたってこの本を参考にしたが、間違っている、不親切、そういった事は感じなかった。
テンプレートタグで例示された物以外はないのか、という点でも過不足なく作れている。もっと大量のテンプレートタグを巻末に追加して、そこを必要に応じて参照させてもいいのだけれど、その方法は取っていない。これは内容の薄さではなく、順を追ってまずは最低限の骨格を作らせるのを目的としているからだろう。「レッスンブック」の名前はそこからだ。

インストールから、トップページを表示してみる、個別ページを作る、メニューを表示する、コメントの対応…といった感じで進み、ともかくblogが立ち上がりました、というところまで。サンプル通りだと出来上がるものは何ともシンプルな物なのだが、最後まで一通り終わらせれば後は何が足りないかは自力で調べてやって行けると思う。
むしろ、おまじないを連呼して変な癖をつけるよりは初心者に向いている。

総評

WordPressについてくるサンプルテーマはあれで良い物ではあるのだけれど、見かけ上のファイル数の多さから改造して学ぶ、真似て学ぶという点では難があり、その点、最低限の構成を自分の手で作らせる方法は非常に良い。
実際、このサイトも画像を除けば今のところ(構築直後)4ファイルでblogとして動いている。

逆にテクニック的な物を期待するとほとんどそれは満たされない。骨格作りの勉強、安全に失敗できる砂場を自分で作るための1冊。

なお、対応バージョンが別の書籍が存在するので購入の際には注意。