Ex-Libris
  • タイトル:ミリコスガールズ -Military Equipment Girls-
  • 著者:月刊コミックガム編集部
  • 出版社:ワニブックス
  • 形態・レーベル:B5フルカラー
  • 価格:¥1886+税
  • 発売日:2013/03/29

前半分は外国人女性モデルの米軍軍装写真集約80ページ+後ろ半分が軍装キャラクターイラスト約30ページ。奥付も2つ。
やりたい事はまあ分からなくもないし、個人的には最初から中身を知った上で買ったので不満はないのだが…。

写真集パートは普通に見て楽しめる。軍装はとても(とても!)奥深い分野なので詳しい人が見れば結構違っている所があるらしいが、詳しい人にそれは任せることにする。

一方のイラストパートの評判があまり良くないが、この責は編集企画担当にあると思う。
資料本としての体裁を半ばは持つ以上、軍装の細部や組み合わせ、ポーズなどをきちんと描いてお手本にできる、あるいは写真の横に同一ないし同系統の装備やポーズで絵を載せられるレベルの人でなければこういったやり方に不満が出るのは当然。
いっそ十分な実力のイラストレーターがイラスト化する際の落とし込みを、関連した軍装写真と並べる所までやればいいが、まあそんなご飯の種を暴露してくださいという話は通らないだろう。
とはいえ、これでは一冊にまとめる意味がない。分冊されていても両方買うものでなければ一緒にする意味がない。

資料の見つけにくい分野でこういった企画を通す意味自体は買うが、各種の「萌え○○図鑑」がある時代にもう少しなんとかならなかったのか。
萌えと適当な要素をダクトテープで貼り合わせるようなやり方はどちらの価値も下げてしまうだけだ。

  • タイトル:マネー・ボール〔完全版〕
  • 著者:マイケル・ルイス (著), 中山宥 (翻訳)
  • 出版社:早川書房
  • 形態・レーベル:ハヤカワノンフィクション文庫
  • 価格:¥987+税
  • 発売日:2013/04/10

読了。

「ビッグデータ」がバズワードとして流行して、統計が実は非常に強力な武器だと皆が気付き始めたこの時代。旧態依然として勘に頼り切った米メジャーリーグを舞台に異端児の快進撃を描いた必読…とか適当に宣伝を並べることも考えたが、実際にはちょっと切り口は違う。
全体としてはアスレチックスの「ビズ」の仕切りを中心に、ゼネラルマネージャーのビリー・ビーンの過去が少し、野球界のデータの扱いなどを絡めて進む。
もっとも、野球界のあまりの石頭に著者が失望したと言い切るだけあって、アスレチックス以外の話は出てこない。メジャーリーグ全体を俯瞰したければ別の本を当たるべきだろう。

確かにそれまでデータを読もうとせず、のみならず結果を示してすら受け入れを拒む理解しがたい頑迷な世界ではある。そこでしたたかに立ち回る面白さは本題ではある。
だが、統計学を武器にした勝利劇と言うよりは、過去の挫折を抱えた「傷物」達の生き方という行間がまた味わい深い。

(さらに…)

  • タイトル:フリーカルチャーをつくるためのガイドブック
  • 著者:ドミニク・チェン
  • 出版社:フィルムアート社
  • 形態・レーベル:単行本
  • 価格:¥2200+税
  • 発売日:2012/5/25

概要

これまでの歴史に比べれば圧倒的に多くの人が情報を発信できる時代。
触れる情報も莫大なものになり、引用や複製も容易。そんな中で一作品においてこれまでとは比較にならない数の他作品の引用といった形もありうるようになった。そこで利用した他作品に対してどんな対価を払うべき(※1)か。自身の作品を気兼ねなく利用してもらい、新しい作品の中で生きさせる事を望む場合にどう表明するべきか。

簡単な「著作権」成立までの歴史から始まり、創作の土壌に他の作品が存在すること、過剰な権利主張によってそれが先細りしかねない中でどのように自身の作品が利用されて欲しい事を表明するか。
厳密な法についての話や、技術的な制限を介した私的利用制限などについてはほとんどなく、平易に、誰もが創作者になれる時代のために多くの人に読みやすく書かれている。

あくまでも自身の作品を利用してもらうためのものなので、権利主張の法的闘争ガイドではない。

(※1)
この点については多分にシステム構築的な問題でもあり、この本で目新しい提案があるわけではない。

(さらに…)