Ex-Libris
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【ネトゲ始末記】君達の闘いを見せてもらおう
メビウスオンライン終了
  • タイトル:メビウスオンライン
  • 運営:ゲームポット
  • 開発:ClickChop
  • サービス期間:2011/04/06~2013/02/28
  • プレイ期間:クローズドβから継続

8月かもっと以前の時点での予想の通り、メビウスオンライン終了。過去にもゲームポットはオンラインカートステアを2年程度で手仕舞いしたりしているので、目端が利いていればおおよそXデーは予想できたと思う。

じゃあ、雑多に語ろうか。
きちんと整理するには少々愛着が過ぎるので乱文となることをご容赦願いたい。

再提出

これを書いているのは正確には2/28ではなくしばらく経ってからなのだが、GMの発言まとめなどを見る限り初動で即死させた戦犯がいなければ軟着陸をもう少し伸ばせた可能性はある。
最後にアップデートやGMの発言などで見えてきたものもあり、いくらかは考えを改めるべきところもあった。
根本から直さないと何も載せられないというわけではなく、終了時点で見えていた機能をかんがみるに、初動での間違いをいつまでも直せなかったことが問題だと思う。

とはいえ結局のところ、2年近くの時間を与えられながら何の大ナタも振るえない状況を見ればプロジェクトとして見限られても当然だと思う。
少なくとも人口が微増を続ける程度の成果は出さなければ、過去の自分には勝っているという悲しい意味合いになってしまう。(※1)

(※1)
まあ、装備カテゴリを増やしてガチャを増やす以外に意味がない追加要素でゲームを破壊する例が近所に転がっているので、退化しないことも重要な気がするが。

レゴブロック

前述のとおり、ゲームルール、集金ポイントのデザインができていればそれを駆動しうるだけの物はきちんと存在していた可能性がかなりある。

最後にGMがロビーに大量にコンテナを置いて天高くまで登ったりといったお遊びをやってくれたのだが、マインクラフトよろしく10個単位で置きまくっても問題なく動作。
また、パッチ規模によってはホットフィックスをかけられたり、比較的サーバは安定していたり、お遊びではロビーの出撃施設の上に協力ジャンプでギリギリ登れるようにしたりと、基幹ないし初期構築部は割と優秀に思える。

ファイナルミッションでも、ボスの取り巻きを倒すとボスがダウンして集中攻撃を入れられるのだが、なぜこの望まれた要素を今まで入れなかったのか…。
技術的にできないとばかり思っていた、モンスター同士の協働やオブジェクトを絡めた動作ができると分かったのは、良い意味でも悪い意味でも予想外だった。

ぶたさん

ネットゲームの過疎化は、得てしていわゆる「質アニメ」の絞り込みと同じ現象が起きるので人口が激減する前後でなければ参考にしにくいとは思う。
その上で印象論を言えば、特別に紳士的とも思わないし、それほどひどいクズの集まりでもない。
ゲームルールの方向がもっと「他人に不利益を与えれば大きな利益を得られる」「誰かの勝手な行動が周囲に大きな迷惑を及ぼす」顕著ならばもっと荒れていたはず。逆にそういった要素を好まないプレイヤーが集まったとも言える。

アバター

プレイしていたならば常識的で、他ゲームでは考えもしないせいかあまり語られていないのだけど、「インナー(ボディスーツ、ペインティングとして扱われる部分)の重ね着ができる」というシステムは、組み合わせのバリエーションの豊富さを大いに助け、実装速度の救いともなりうる非常に重要な点。
ただ、衣装を重ねる順番という概念自体、これを持つゲームが今後登場するとも思えないので、この一代限りにして好事家の間で語られる存在になるだろう。

PvX

荒れやすいというか、最も荒れた話題の一つ。

対人、対CPUの両立を目指すと言ってしまった点はあまり関係ないと思う。
ドロップ関連や宝石属性の無意味さ、対人ルールと乖離したキルカウント要求(※1)など、各種の仕様が不整合を起こしていたので、どちらかに注力してもやはり残念な出来になっていた気がする。

全般的にゲームルールのデザインに関しては、評価すべき点がほぼ見当たらない。「より最悪」を想像した上でしか擁護できない物は単なる産廃だ。
あえて言うなら制圧戦は比較的うまく回ったと思うが、むしろそこから何も引き出せずに最後まで行ってしまったのが本質的な問題じゃないだろうか。

(※1)
衣装の取得にキルカウントを要求、後にPvEでもドロップするアイテムで代用できるようになったものの、当時は嫌悪感もかなりあった。
個人的には、ルールと不整合を起こして特に20XXの対人を酷い状態にしたという意味で、そもそもの要求の仕方としてもこのシステムは大失敗だと考えている。20XXは最初からクソゲー扱い? …ちょっと屋上に来い。

物語、終わる世界

ストーリーは最後できちんと締めており、これは相当覚悟を決めたのではないだろうか。
サービス終了が発表された後もアップデートともども手を抜かず、きちんとプレイヤー(とキャラクター)を送り出して終わっている。

メビウスシステムからの解放となるファイナルミッション後のスタッフロールは、妖精機関本部に最初から用意されていたスタッフロールと対になっていたりする。

NPCが消えた後、最後に自キャラはプレイヤーの手を借りずに、お辞儀し、プレイヤーに向かって手を振り、別れを告げて消えて行く。
…もう一つ上の段階の意味で、あなたの娘は、あの時ついに一人で歩き出したのだ。

「全ての世界、全ての時代、全ての何かは我らの調整のもとにある」から「君達の闘いを見せてもらおう」へ。

Moving Next Period…!

GMも明言していたけれど、続編はないだろう。

というか、曲がりなりにもゲームなのに「キャラメイクできてロビーで歩ければいい」というのはほとんど死体蹴りだと思うのだ。どうしても言外にキャラメイク以外の価値の低さが出てしまう。最後に残ったプレイヤーにすらそう言われてしまう事が、もしかしたらある点の価値の高さと、ある点の救われなさの象徴かもしれない。

それぞれの未来

さて。
おそらくこれから、PCフルスペックネットゲーム全般は冬の時代との境を歩むことになると思う。
その対比としてソーシャルゲームが挙げられるけれど、ぼくはそれを必ずしもマイナスではないと思っている。
きちんと開発ラインの管理を行い、人材を選別し、フィードバックを集積し、数理解析で行動データを意味ある方針の材料にする。当たり前のことくらいはできなければ、レッドオーシャンでは生き残れない。
立ちはだかる様々な困難を越えるのはたやすい事ではないだろうけれど、最後に見せた可能性が花開くところをいずれ、スタッフには見せて欲しい。

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